今日は空を眺める日

大方、大学生視点からの映画講評ブログです。たまにふらふら雑多なこともつぶやいてます。今まで見た映画は200本ほど、、それらの感想を少しずつ書いていきます。

【バケモノの子】

 

バケモノの子をみました。

 

 

まず、前半の目覚めるような彩度高めの背景、後半の前半と対比するかのような夜の暗い場面の背景、神は細部に宿ると言いますがどの場面も色彩が抜かりなく美しく設定され、終始素晴らしい作品でした。

 

登場人物の大半がバケモノであるため、一応人間である私は、感情移入できないのでは?と思いましたが思ったより人情(?)物語であったために登場人物に共感できる部分も多くありました。

 

スタジオ地図の作品は、人間関係の暖かさが描かれている作品が多いですね。

サマーウォーズはまさにその暖かさに焦点を当てていることがわかりやすく、それが大ヒットの要因でもあったかと思います。

 

 

この映画は孤独を感じやすい現代に、どう人を信じいかにして生きていこうかという気の遠くなるような苦悩に、前向きに背中を押してくれるようなスカッとするストーリーでした。

 

レビューの否定的な意見に「ハートフルさにうんざりする」と言うものがありました。これは正直なところわからなくもないです。たしかに(私の周りだけかもしれないが)現実の人間関係は映画の中で描かれているほど暖かくないときが大半ですね。この映画は、そういう冷たさなどの人間関係の生々しいリアリティを刻々と描いているような映画ではないです。なのでそういう冷たい部分での共感は全くできません。むしろリアリティは適度に排除しているようにさえみえます。

 

では、この映画からなにを読み取れば良いのかということです。(純粋に何も考えず見てもとても面白いですが)

バケモノの子のHPバケモノの子HP(http://www.bakemono-no-ko.jp/sp/)の監督のコメント

「新しい子供たちは何を道しるべに成長すればよいのか。 また新しい大人である私たちは、 子供たちにどんな姿を見せ、何を手渡してあげられるのか。 この映画を通して共に考えていけたらと思っています。」

これこそがこの映画の伝えたいものなのではないかと感じました。

 

私はまだ世間で言うと若者だなーと言われる立ち位置にいます。監督のように、これからの子供たちに伝えたいものがあるわけでもないですね。次の世代のことを考える余裕はなく自分のことで手一杯です。自分を客観視すると日々、世の中の理不尽さに、どこへ行っても蔓延する孤独さに、憤り、悩み、躓いてさらに孤独の深みにハマっていくような若者という感じです。

 

しかし、この映画と監督のコメントをみて、ストーリーがうんざりするような綺麗事だとは思いませんでした。

 

ストーリーだけでなく、この映画を作った方々が私よりも上の世代であると共に、今日の世の中や次世代をよくしていこうという大人が世の中にはいるという事実含めて、むしろ、見終わった後は、真っ暗な世の中が少し明るくみえるようになった気がします。

 

バケモノの子は明日が楽しくなるような、良い映画でした。