受け入れ難い日常故の現実味のなさ
何度も帰ってきてと言われたが
結局、帰省ができなかった。
迷惑をかけそうで……
漠然とした焦燥感。
自分が自分でないような感覚。
まるで現実味がない。
世の中がセピアっぽく見える。
記憶に色がついていない。
花が揺れているのは花の意思ではなく、風によって揺られているだけだが、私はそういう花になった気分。
何か違うと思いながら風による揺れを自分の力で揺れていると思い込んで解釈している、その辺の雑草の類に分けられる花と同じ気分。
いつ終わるんだろうというものに世界は巻き込まれているけれど、それもいつかは終わる。
あまりに某感染症のことばかり考えると精神衛生上良くない。
だからといって現実から目を背けるわけにもいかない。
結局帰省ができなかったというのは誰かに止められたのではなく、私が自らやめたこと。
私が帰ったとして、もし私の周りが苦しんだとしたら?という最悪ルートは断ちたかった。
真面目すぎると言われるかもしれない。
しかしよく考えた結果、帰省はやめた。
おそらく帰ってくると思っていたであろう実家には、よく説明をして帰らぬ旨を伝えた。
意外と理解してくれた。
ほっとしたとともに帰省の目処が来年まで立たないこともあり、複雑な気持ちであった。
こんな時も日々働いている医療に従事してる人のこと、今後のこと思うと、とても私は帰れなかった。